留学体験談

息子のイギリス研修をバネに、語学留学を決心。長年の夢がようやく叶いました!

Hirokoさん(留学当時:62歳)
60歳でリタイア後に英会話スクールに通い始め、約2年後の2009年9月に、同スクールの海外留学プログラムを利用してイギリス・ヘイスティングス校に単身留学。ホームステイをしながら、4週間の語学研修を受講。
  • 滞在先 :イギリス ヘイスティングス
  • 語学学校:Shane Global Language Centres Hastings
  • 留学期間:4週間

留学した理由

「英語を話せる旅がしたい」幼い頃からの夢を息子が後押し

昔から英語に興味があって、短大も英文科に進んだのですが、英文法や英米文学史といった授業が中心で、ネイティブの先生と会話する機会は皆無でした。いつか英語が話せるようになりたいな……とずっと思い続けていたのですが、仕事や子育ての合間ではテレビやラジオの英会話講座をときどき聞くのが精一杯。子どもが大学生になった40代後半からは年1〜2回海外旅行に行くようになりましたが、添乗員さん同行なので結局英語を話さなくて済んでしまうんです。そんな旅行を繰り返すうちに、「英語を話せる旅がしたい」という思いがどんどん強くなっていきました。

そこで60歳で仕事をリタイアしたのを機に、まずは英会話を勉強しようと国内の英会話スクールに通い始めたんです。世界中に提携校があると知り、留学への夢がふくらみ始めたのですが、まだまだ英語力が足りないし、もっとずっと先の話だと考えていました。ところが英会話を習い始めて2年目のある時、息子が会社の語学研修で2か月間ロンドンに留学することになったんです。それで留学するなら今だ!と。この年齢で留学するには勇気がいりますから、同じ国に身内がいる時が絶好のチャンスじゃないかと思って、決心しました。

語学学校について

発表中心の授業に大苦戦。結局下のクラスに変えてもらうことに…

英会話スクールのイギリス提携校はロンドンとヘイスティングスの2か所にあったんですが、息子と同じロンドンだと頼りきりになりそうですし、日本人が少なくて勉強に専念できる環境と聞いてヘイスティングス校を選びました。ヘイスティングスはロンドンから電車で1時間半ほどの、南海岸沿いにある小さな漁師町。静かで穏やかで、イギリスのローカルな暮らしを体験することができました。

学校では、インターミディエート(Intermediate・中級)クラスに入ることになりました。ところが授業中は何かと意見を求められることが多くて、これが想像以上に大変だったんです。「こういうことがあったが、合法か違法か、あなたはどう思う?」「日本の政治家にはスキャンダルがあるのか?」などと日本語で聞かれても答えづらいことを、聞き取りも十分でない状態で答えるのが本当に難しくて……。

クラスメイトの国籍はさまざま。訛りのある英語を聞き取るのは大変だけど、楽しかった!

英語の勉強に使ったノートと教科書。今では思い出の品。

日に日に学校に行くのが苦痛になって、とうとう2週目に「下のクラスに行きたい」と先生に申し出ました。翌日から1つ下のプレ・インターミディエート(Pre-Intermediate・中級の下)クラスに変わりました。確かに授業は簡単でしたが、ストレスを抱えながら学校に行くよりずっとよかったですね。若い人なら語学力をつけようとがんばるところですが、私の場合は無理してレベルアップするより気楽に英語を勉強できれば十分だと思ったんです。

途中でクラスが変わったので、はじめは疎外感がありましたが、同じクラスにいた同世代の日本人女性と仲良くなれたことで少しずつなじめた気がします。クラスメイトはイタリア人、コロンビア人、中国人、韓国人と多国籍でおもしろかったですよ。それぞれがお国訛りの英語なので聞き取るのが大変でしたけど(笑)。

ホームステイについて

同年代のホストファミリーと毎日会話するのが楽しくて

留学中はずっとホームステイをして、ステイ先からバスで学校に通っていました。ホストファミリーは50代のご夫婦で、世代が近かったので共有できる話題が多く、会話するのがすごく楽しかったですね。子どものこと、孫のこと、好きな映画のこと、ビートルズのことなど、毎日いろんな話をしました。

おうちは築100年くらいの古い家。中はリフォームしていてキレイでしたが、家の建て付けが悪かったり、お湯の出が悪かったりして苦心したこともありました。ご夫婦2人とも働いていたので、私が鍵を預かって一番に帰宅していたのですが、学校初日に帰宅して鍵を入れてもドアが開かなくて。困り果ててホストファミリーに電話したら、「鍵を右に回してノブを引っ張ってみて」とドアを開けるコツを教わってようやく家に入れた、なんてことも。でも私が使った部屋は、6畳ぐらいの個室で机とベッドとテレビが備え付けられていて、快適に過ごすことができました。

唯一つらかったのは食事でしょうか。イギリス家庭の食事はほとんどが冷凍食品で、野菜も少ないんです。日本の食品は持参してなかったので、帰国後の食事が楽しみでした。

のどかでゆったりとしたヘイスティングスの住宅地。

ホストマザーとは世代が近かったので、毎日、会話が楽しかった。

ホストファーザーもとても親切な方でした。

放課後や週末の過ごし方

クラスメイトとおしゃべりで発散。週末旅行で息子とパリへ!

授業は平日の午前中だけでしたので、午後は近所を散策したり、近場を観光したりして過ごしました。また学校内では一切英語以外しゃべってはいけなかったんですが、同世代の日本人クラスメイトと一歩学校を出ると日本語でしゃべりまくってました(笑)。おかげで、全然ストレスがたまらなくてよかったなと思います。

ロンドンにいる息子とは、一度だけ会いました。週末、2泊3日でパリに行ったんです。無料貸出しの自転車を利用して、ルーブル美術館やオペラ座など、セーヌ川沿いを自転車で回って楽しかったですね。でも実は、帰りに大変な思いをしました。というのも行きは平日の金曜で、ヘイスティングスからロンドンまで直通電車で行けたのですが、帰りは日曜でダイヤが変わっていて、ヘイスティングスまで行く列車がなかったんですよ。途中の駅からバスを乗り継ぐしかなくて、家まで帰れるのか不安でいっぱい……。必死で乗り継ぎのしかたを聞いて、やっとの思いでたどり着いたときには涙が出そうになりましたね。

イギリスには歴史的建造物が多く、放課後や週末は観光も楽しみました。

ロンドンにいる息子と合流して、一緒にユーロスターで2泊3日のパリ旅行へ!

少し足を伸ばして、ベルサイユ宮殿にも行きました。

留学してよかったこと

海外生活はハプニングの連続。大変だけど、それ以上の喜びがある

イギリスでの暮らしは日本のように快適ではないし、予定通りにいくことが少ないと思います。私もヒースロー空港に着いたときからそうでした。学校スタッフが迎えに来てくれるはずが、どこにもいないんです。空港のインフォメーションセンターで呼び出しをお願いしましたが、それでも現れない。もうパニックですよ。それで学校に電話したら「今向かっている」と言われて、結局30分以上待たされました。初日からいきなり洗礼を受けましたね。

でもそうやってハプニングを乗り越えられたことが、留学で得た一番の収穫じゃないでしょうか。目の前の問題をクリアするために、必死になって伝えようとしますし、相手の話を聞き漏らすまいと真剣になります。そういうことをくり返すうちに英語を話すことに抵抗がなくなったように思います。ホームステイで一般家庭の暮らしも味わえましたし、ツアー旅行ではできない経験がたくさんできて、留学してよかったとつくづく感じています。

また、帰国後は地元の国際交流協会に入って、大学の外国語講師の方や留学生との交流会に参加するようになりました。英語を通じた輪がどんどん広がって、今はそれがとても楽しいんですよ。これも留学がいい影響を与えてくれたのかなと思います。

これから留学する方へ

コツは何事も「やってみよう!」の精神で楽しむこと

私が留学期間を4週間にしたのは、留学説明会で「初めての留学はお試しで4週間ぐらいにするのがいい。それで物足りなければ、次はもう少し長くするという風にならしていくのがおすすめ」とアドバイスされたから。実際に体験してみて、確かにその通りだなと思いました。2週間だとようやく慣れたところで帰ることになりますし、逆に1か月以上になると食事や住環境など日本と違う生活が負担になってきます。初めて留学するなら、無理のない4週間ぐらいがいいんじゃないでしょうか。

現地で気をつけてほしいのは交通機関です。イギリスの電車は平日と土日で路線がかなり変わりますので、下調べをして出かけたほうがいいと思います。また、駅には日本のようにどこにでもエレベーターやエスカレーターがあるわけではなく、あっても場所が遠かったり、動いていなかったりするので要注意。私は帰国する時にヒースロー空港まで地下鉄で行こうとしたんですが、その日はいつもある直行便がなく、電車を乗り換えては重たいスーツケースを抱えて階段を上り下りすることに。60すぎの身にはかなりこたえました……。

海外生活では予想外のことが起きがちですが、でもそこであきらめないで、「よし、やってみよう!」と好奇心旺盛に何でも試してみてほしいです。冒険心を持っていれば、留学生活はきっと楽しいはずですから。

この記事を書いた人

秋枝由美Yumi Akieda
山口県出身。海外生活に憧れ、大学在学中にアメリカ留学を経験。以来すっかり旅行にハマり、卒業後は海外旅行情報誌の編集者として活動。フリーランスの編集ライターに転身後は各紙の旅行記事や人物インタビューを担当し、2003年からは現地特派員として約1年間ニューヨークで暮らす。現在は東京の離島・新島で取材・執筆活動を続けながら、島民目線で世界を観察中。
ブログ「アキエダドットコム」http://akieda.com