世界14都市のコラム
カナダ・バンクーバー

ペットショップに、犬や猫はいない!?

犬がリードなしで遊びまわれる「ドッグビーチ」でくつろぐ犬たち。

カナダでは、「ペットショップ」とは主にペット用品を販売する店のことで、仔犬や仔猫を仕入れて店頭で売るような店はめったに見かけません。では「犬や猫を飼いたい」という時はどうするかというと、ブリーダーから直接購入するとか、動物愛護団体から引き取るといった方法があります。

ブリーダー情報はネットでも検索できますし、口コミで優良なブリーダーを紹介してもらう人もいます。ブリーダーの中には購入希望者に対して、住環境や、なぜこの犬種を希望するのか、家に動物アレルギーの人はいないかなどの聞き取り審査を行い、購入者を選ぶという信念の人もいます。逆に、「puppy mill(パピーミル)」と呼ばれる劣悪な環境で大量繁殖を行う悪徳ブリーダーがいるのも事実。なので、ブリーダーの家に行き、繁殖環境や健康管理の状況などを実際に見てから決めるのが基本です。

犬や猫に加え、ウサギやハムスターといった小動物を保護しているシェルターもある。

シェルターでは、様々な理由から保護されたペットたちが新しい家族を待っている。

大手ペット用品店の前を通りかかったら「譲渡会」のサインが。この店では動物愛護団体と提携し、保護された犬や猫の譲渡会を開催している。

動物愛護団体からペットを迎えるには、保護犬/猫などが登録されているウェブサイトで検索するほか、愛護団体のシェルターに直接出向く方法もあります。こうした団体から動物を迎える場合、「ペットの飼育に年間どのくらい費用がかかると思うか、1日何時間家を空けるか」など様々な質問を受けたり、ペット可の物件かどうか確認するため大家さんの連絡先を聞かれたり、スタッフが家を訪れて「ペットを飼うのに適切な環境か」チェックする団体もあります。そうした過程を経て、そのペットの種類や性格に最適な譲渡先を決めるのです。

新しくワンちゃんを迎えた人の中には、しつけ教室に通う人も少なくありません。ここバンクーバーでも、仔犬用、成犬用、小型犬専用、個人レッスン、さらには「都会の犬のマナー教室」など様々なクラスが開講されています。「カナダはペットに優しい国」という声を聞くことがありますが、カナダ人の友人によれば、「それは、ペットが周囲に迷惑をかけないよう、飼い主が責任もってしつけをしているのも一因だと思う」とのこと。飼い主さんたちの意識の高さも感じました。

この記事を書いた人

白川エリEri Shirakawa
ライター&フォトグラファー。1996年より海外旅行情報誌および留学情報誌を中心に執筆活動を行う。1998年から8年間オーストラリアのシドニーで暮らし、2006年からカナダのバンクーバー在住。趣味は、旅行・読書・東洋美術史。動物好きという縁から、動物愛護団体で数年間ボランティアのアニマル・フォトグラファーを務めた経験も持つ。NAATI(オーストラリアの国家認定資格)パラプロフェッショナル通訳。