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ニュージーランド・オークランド

知っておきたいマオリのマナー

マオリ族と一緒に伝統的な出陣の踊り「ハカ」に挑戦する観光客。「ハカ」は、ニュージーランドのラグビーチームが試合前に踊ることでも知られている。
©Tourism New Zealand(Adam Bryce)

アオテアロア(ニュージーランドのこと。マオリ語で「白く長い雲がたなびく地」の意)の人口の約15%を占める、先住民マオリ族。 ニュージーランドでは、先住民マオリ族の文化は尊重されており、マオリ語は英語と並び公用語とされています。地名にもマオリ語がたくさん使われていて、ニュージーランドにおいてマオリの文化に接する機会は、日常的に多々あります。

「Kia ora(キアオラ。英語の“Hi!”のようなカジュアルな挨拶)」や 「Haere mai(ハエレマイ。ようこそ)」など、簡単なマオリ語は覚えておきたいですが、それ以上に知っておきたいのはTikanga Maori(ティカンガ・マオリ)です。Tikanngaという言葉の意味はたくさんありますが、この場合、マオリの「慣習や道徳、作法」といった意味で使われます。

戦いの神「Tu」と平和の神「Rongo」を象った「Tomokanga」(人々を聖なる地へと迎える門)。

1864年、約250のマオリ族が約1700のイギリス軍を相手に戦った「ゲート・パの戦い」で活躍したラウィリ・プヒラケ。

マオリ族の人々は、頭は「Tapu(タプ。神聖なもの、触れてはいけないもの)」として考えます。相手の頭に触れるのはとても失礼な行為となります。小さなお子さんなどに対しても同じなので、うっかり頭を撫でたりしないよう注意しましょう。枕の上に座らない、帽子をテーブルの上に置かないなど、頭に直接触れる枕や帽子の扱いにも注意が必要です。

その他、鞄をテーブルの上に置かない、誰かが話している最中には部屋に入らない、自分より年配の方の前を遮って横切らない、など日本と同じようなルールがたくさんあります。これらは、書物等に記されているものではなく、人々の生活の中で受け継がれてきた繊細なものです。

他の文化に対する理解を示すことは、他への尊敬の念を表することだとして、マオリ族の方々は、私たちが彼らの文化を理解しようとする姿勢をまっすぐに受け入れ、喜び、温かく迎えてくれます。わからないことは聞き、文化的に失礼のない適切な行動が取れるよう、気をつけたいものです。

この記事を書いた人

ハッチンソン麻由美Mayumi Hutchinson
夫の転勤に合わせて、オーストラリア→日本→ベトナム→中国と拠点を移し、現在はニュージーランドにて4か国目の海外生活を満喫中。各国で仕事をしながら、その国を知ることの楽しさ、文化の違い、色々な国の人との出会いを体験。海外生活で大切なのは、神経の太さとコミュニケーション力と信じつつ、日々精力的に活動している。現在はニュージーランド北島中心の記事の執筆を担当。ニュージーランドの日系メディア会社「ジャパン・メディア・クリエーションズ」所属。